時間が経ち経験が増えるということ

小・中学生のとき、ぎりぎり高校生の時まで、

たとえば好きな人がいたとして、

その好きな人もわたしのことを悪いようには思っていないだろうなと感じられたとき、

その好きな人のいちばんになりたくて

その好きな人をいちばんと言っていいのを

自分だけの特権にしたくて

好きです、付き合ってください

なんて言ってみたり、もしくは好きアピールをめちゃくちゃにして、むこうに告白をするように仕向けたりしていた

あの頃は想いを口に出すことは

今に比べると容易だった

その分人を傷つけることも自分が傷つくことも理解していなかったし

その時が楽しければ良かった、はずだった

好きな人ができて、

体を重ねて、その十倍は唇を重ねて、

夜をすごして

恋人のように目覚めの口づけをして

だらだらとした時間をすごして

くだらないお笑いを見ながら一緒に笑って

お腹が空いたねなんて言って一緒にご飯を食べて

幸せな時間をすごしている

はず、なのに

その人がわたしのものだったら完璧なのに

わたしが好きだということを伝えて

この関係がなくなってしまうのが嫌で

もしうまくいったとして

その関係がいつまでも続くということはないだろう

その後のことを考えると

そういうのを気にしない人ではないだろうから

やっぱり今の関係でいるのが最善策なんだろうなと思ったりして

いつからこんなに

自分の気持ちを誤魔化して

逃げ道を作るのが上手くなっちゃったんだろうな

お酒の勢いに任せてでも言えたらいいのに

お酒の力を借りないと

思ったことのひとつやふたつも

伝えられないような

弱くて情けない人間になってしまった

のは、いつからだろう

これが大人になるということなら

なりたくなかった

かもしれない